映画から学ぶ

昼顔(フランス映画)1967年 カトリーヌドヌーブ あらすじ(ネタバレあり)

2015/07/07

映画「昼顔」。原題はフランス語で「三色朝顔」「日中の美女」「昼間に稼ぐ娼婦」の意味する「Belle de jour」。

1967年制作のフランス・イタリア合作映画で、原作は1929年に発表されたフランスの小説家ジョゼフ・ケッセルの同名の小説「昼顔」。

同年1967年第28回ヴェネツィア国際映画祭では最高賞である金獅子賞を受賞している凄い作品。

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2014年7月17日から放送している上戸彩が出演しているテレビドラマ「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」は、この映画「昼顔」をオマージュした作品なんですね。

※)オマージュとは、敬意を表する、リスペクトする、という意味。リメイクとは異なり、オリジナル作品に敬意を表して作られたオリジナル作品のこと

この映画「昼顔」では貞淑な妻が昼間売春をするように、テレビドラマにおいても、夫がいない昼間に妻が不倫をすると。

この映画「昼顔」当時のカトリーヌ・ドヌーヴはとてもそうは見えない24歳。

彼女自身がいう代表作にはこの映画「昼顔」と彼女を世界的スターにした「シェルブールの雨傘」(1964)があります。

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映画「昼顔」 あらすじ

若くて美しいセヴリーヌの闇

パリで幸せに暮らす夫婦。夫は医師のピエール(ジャン・ソレル)。妻は若くて美しいセヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)。

幸せな二人だったが、妻セブリーヌは心の中に闇をかかえていた。幼いころ粗野な労働者に抱きしめられた記憶が、心の底に妖しい妄想となって潜んでいるのだった。森の中に強引に連れて行かれ鞭で打たれたり泥をぶつけられたりと白昼夢のように妄想にとりつかれる。

私は一体どうしちゃったの?

そんなある日、セヴリーヌは友達から衝撃的な話を聞く。上流階級の婦人たちが娼家で売春をしていると。セヴリーヌは何かに取りつかれたようにその住所に訪れ、葛藤しながらも自分の心の闇には勝てず娼婦として働くことを決めた。時間帯は午後の2時から5時。上品な夫人、午後の2時から5時、ということから娼家の女主人はセヴリーヌに「昼顔」という名を与えた。

昼間と夜の2つの顔

昼間と夜の二重の生活が始まったセヴリーヌ。

そして、セブリーヌの二重生活がはじまった。夜は貞淑な妻、昼間は行きずりの男に抱かれる「昼顔」。はじめこそ罪悪感があったものの、色々な男たちと出会い抱かれていく中で、夫を裏切っているという意識もなくなっていく。日々、心、体とも満ち足りた時間を過ごせるのだった。

しかし、満ち足りた日々も終わる時が迫る。ある客が行きずりの恋を超えてセヴリーヌに惚れ込んでしまい、その男に付きまとわれるようになる。金歯をした野獣のような危険な男だった。名をマルセルと言った。マルセルはセヴリーヌに離婚しろ、自分のものになれと迫る。

そうした中、夫ピエールの友人が娼家を訪れる。セヴリーヌがそこで働いていることがばれてしまう。夫の友人は夫には内緒にするといって立ち去るが、これをきっかけにセヴリーヌは娼婦として働くことをやめる決意をする。だが悲劇は正にそこまで来ていた。

幸せな妄想の中で暮らす

家に帰るセヴリーヌ。でも尾行され遂にあの危険な男金歯のマルセルに自分の住所が知られてしまったのだった。押しかけるマルセル。なんとか追い返すが、家の前から銃声が。夫ピエールが危険な男マルセルに撃たれたのだった。

マルセルは逃げたが最後には警官に撃たれる。自業自得だ。だが夫のピエールはどうなった?かわいそうに喋ることすらできない全身マヒの身体となってしまう。セヴリーヌは誓った。夫に全て尽くすと。

全身マヒの夫は妻セヴリーヌの心を知らない。何もできない全身マヒの自分が妻の荷物になっていると心を痛める。そんな彼に友達がやって来て伝えた。セヴリーヌが娼家で働いていたことを。

全てを知ったピエール。またそれを理解したセヴリーヌ。だがセブリーヌの心は穏やかだった。全てを夫に知られ、とうとう心の闇から解放されたのだ。現実と妄想が錯綜する心の中には暗い闇はもうない。これからは現実と幸せな妄想の間で過ごしていくのだろう。

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昼、そして夜へ

幼少期のトラウマがねじれた妄想となってセヴリーヌを襲った。その妄想に操られ、娼婦となって妄想に身をゆだねたが、最後にはそこから解放された、ということになります。

一方、セヴリーヌの夫はというと全身マヒになってしまい、そんな自分を懸命に支える妻に対して負担をかけていると心を痛める。その苦悩を取り除くべく友達が妻の秘密を夫に暴露してしまいますが、全てを知られた妻は隠しごとがなくなり逆に全てから解放され、夫の心は負担をかける苦悩からは解放されはしたのでしょうが、流れる涙は今度はどんな感情に支配されることを意味するのでしょうか。

救いはセブリーヌが幸せな妄想と現実の混ざる世界に身を置くことで、仮に夫の心が憎しみに包まれてもそれを知らずに受け止められる、というところなのか...

ずいぶん昔の映画ですがまだ見たことない人も、昔見たけどあまり覚えてないという人も、テレビで昼顔が放送されているのも何かの縁、ということで一度見てみてはどうでしょう。

色々な情報に取り囲まれている現代。当時の観客がこの映画を見た時のインパクトは感じないのかもしれませんが、中々面白いかもしれませんよ。

その名は夜顔

カトリーヌ・ドヌーヴの代表作の1つにも挙げられる映画「昼顔」ですが、実はこの映画の続編がある、っていうのはご存知でしょうか?

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続編は「夜顔」(Belle toujours, 「つねに美女」の意)。「昼顔」のタイトルがフランス語では「Belle de jour」。一種の言葉遊びになってますね。ポルトガルとフランスの合作で2006年に制作され2007年に公開。1967年の「昼顔」から実に40年の時を経て続編が作られました。

昼顔から夜になったんですね。映画のストーリーも昼顔から38年経過した登場人物のたちを描いた作品。

この「夜顔」は日本でも2007年12月15日に公開されています。セブリーヌを演じるのはカトリーヌ・ドヌーヴではなく同じくフランスの女優ビュル・オジエ。「昼顔」は最も好きな映画の1つというビュル・オジエは1939年生まれ。カトリーヌ・ドヌーヴは1943年生まれということからビュル・オジエは4つ年上の女優さん、ということになるでしょうか。

映画「夜顔」の中では「私はもう、あなたが思っているような女じゃないのよ」と何度か口にしますが、このセリフはお気に入りだったようですね。

麗しのカトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴ Catherine Deneuve
本名: カトリーヌ・ファビエンヌ・ドルレアック Catherine Fabienne Dorleac
フランス・パリ出身の大女優。
1943年10月22日生まれ。

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1964年の映画「シェルブールの雨傘」で世界的スターへ駆け上がる。
彼女自身、代表作として挙げている映画は、この「シェルブールの雨傘」と、この3年後に発表となる1967年の「昼顔」。

1980年の映画「終電車」 Le Dernier metro, 1992年の映画「インドシナ」でセザール賞 主演女優賞 受賞、
1998年の映画「ヴァンドーム広場」では、ヴェネツィア国際映画祭 女優賞を受賞を受賞している。

主な作品

「シェルブールの雨傘」(1963年)
「ロシュフォールの恋人たち」(1967年)
「昼顔」(1967年)
「哀しみのトリスターナ」(1970年)
「終電車」(1980年)
「インドシナ」(1992年)
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000年)
「クリスマス・ストーリー」(2008年)

正にため息の出るような女優さんだと思います。

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