ルパン三世、宮﨑駿監督作品、映画「カリオストロの城」。クラリスと伯爵の声優やルパンが乗ってた車は何?
2016/11/22
日本のアニメ史上に今なお光り輝く名作中の名作「ルパン三世 カリオストロの城」。
これが「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」など、素晴らしいアニメ映画を世に放つスタジオジブリの宮﨑駿監督作品(映画初監督作品)、と知っている人は実は以外に少ないのではないでしょうか。
いま見ても全然古さを感じさせないそのクオリティーの高さにはびっくりしますが、なんと1979年の作品(45年前)です。
「ルパン三世」はお馴染み「山田康雄」。当時「ルパンはこの俺に任せろ」とブイブイ言わせていた、ある意味天狗状態の山田康雄ですが、この映画に対しても初めはそうでした。
宮﨑駿監督はそんな山田康雄に対し、この映画ではおちゃらけた感じではなくシリアスにやってね、と注文をつけたらしいですが「ごちゃごちゃ言われたくねえよ!ルパンは俺に任せろ!」と最初は聞く耳持たなかったとか。
ところが、声優の声を付ける前にこの映画の試写を見た山田康雄。もうその映画のクオリティーの高さにびっくり仰天。逆にどんな無理な注文でもつけてください、と宮崎監督に頼むことになった、といいますから、どれほど凄い映画かがわかろうというもの。
後に山田康雄はこの映画が大のお気に入りとなり、「こういうのを映画の真髄というんだ」と言っていたそうですね。ルパンの一番の理解者、ある種一心同体となっていた「山田康雄」にここまで言わせるこの映画。見てない人は是非見なくては。
映画の中で流れる音楽も美しく印象深いものばかり。主題歌の「炎のかたらもの」は勿論、湖の底からローマの街が出てきた時に流れるBGM含めた様々な効果音たち、などなど、もう話し出せば止まりません。
ここではその物凄い映画「カリオストロの城」のよく知られるメインの登場人物、ルパン、次元、五エ門、不二子に銭形警部、は、ちょっと横に座っていてもらい、映画のヒロイン「クラリス」や憎き「カリオストロ伯爵」についてその声優、また人物ではなく、ルパンたちが乗っていた車などについてここでは見てみましょう。
Contents
■映画について
- ルパン三世 カリオストロの城
- 監督 宮崎駿
- 脚本 宮崎駿・山崎晴哉
- 原作 モンキー・パンチ
- 音楽 大野雄二
- 主題歌 「炎のたからもの」
- 興行収入 6億1000万円
- 前作 ルパン三世 ルパンVS複製人間
この映画が劇場公開されたのはTVのルパンシリーズは第二シリーズに突入していた1979年頃のお話。
ルパンの着ているジャケットはTVアニメでは赤色に変わってましたが、この映画ではTV第一シリーズに同じく緑色。
個人的にはあまりおふざけが過ぎるルパンよりも、この色のジャケット着て、TV第一シリーズのようにシリアスで少し大人向けの話がいいなーと思います。
そういった意味では、この映画の前作、コピー人間マモーが登場するその壮大なスケールに度肝を抜かれたルパン映画の第一弾「ルパン三世 ルパンVS複製人間」も超おすすめの一品。
この「カリオストロの城」。
最初こそ期待よりも低い人気でしたが、その後にじわじわと人気が上がり、今ではルパン三世ファン、宮﨑駿監督ファンはもとより、世界中の多くのファンから絶大な人気を誇るアニメ映画の1つとなりました。
■声優の方々
さて、ルパン三世の代表的な映画の1つであり、宮﨑駿監督の代表作の1つ(と勝手に思ってる)この映画の声優陣を見てみましょう。
メインの方々はと見てみれば、おなじみの方々が並びます。
- ルパン三世 - 山田康雄
- 次元大介 - 小林清志
- 石川五ェ門 - 井上真樹夫
- 峰不二子 - 増山江威子
- 銭形警部 - 納谷悟朗
そして、物語の中心人物、クラリスト、カリオストロ伯爵は、というと、
クラリスは島本須美
まずはヒロイン、あの可憐で可愛らしいクラリス。
映画の中での本名は「クラリス・ド・カリオストロ」 Clarisse d'Cagliostro。この映画ではなくてはならない中心のキャラクターですが声優を演じたのは島本須美さん。
- 島本須美
- 本名 越川 須美(こしかわ すみ)
- 生まれ 高知県
- 生年月日 1954年12月8日(69歳)
- 血液型 A型
- 職業 女優、声優
声優の島本須美、元々はテレビドラマとかに出演していたところから、1979年のテレビアニメ版のウルトラマンである「ザ☆ウルトラマン」でヒロイン・星川ムツミ役をするようになってから声優の仕事が増えることに。
この映画「カリオストロの城」の宮﨑駿監督とはつながりは大きく、当時、世界名作劇場シリーズ「赤毛のアン」(1979年)の主役アンの最終選考まで残っていた島本須美さん、結果的にはアンの役はつけませんでしたが、この声に宮﨑駿監督が感銘を受け、なんとご指名で「カリオストロの城」のクラリスのオーディションに参加させ、結果クラリス役に抜擢されたというお話しです。
その後も宮﨑駿監督作品「風の谷のナウシカ」の主人公ナウシカ役、「となりのトトロ」では映画の中に出てくる女の子サツキの母役、そして「もののけ姫」ではトキを演じるなど、宮崎作品に大きく貢献。
TVアニメでは「めぞん一刻」の「音無響子」や「それいけ!アンパンマン」の「しょくぱんまん」もこの方ですね。
TV第2シリーズのルパン三世の最終話「さらば愛しきルパンよ」では宮崎駿監督が別名義で脚本・演出を担当してたりしますが、宮﨑映画「天空の城ラピュタ」に出てくるロボット兵が暴れまわる内容で、クラリスのようなヒロイン「小山田真希」も島本須美さんが演じてます。
ちなみに、クラリスの飼っている犬の名前はカールでした。
伯爵は石田太郎
さて、こちらもこの物語には欠かせない悪者、カリオストロ伯爵。
映画の中での本名は「ラザール・ド・カリオストロ」Lazare d'Cagliostro。あの艶があり表情豊かな悪役声を演じるは声優の石田太郎さんです。
- 石田 太郎(いしだ たろう)
- 本名 石田 弦太郎(いしだ げんたろう)
- 生年月日 1944年3月16日
- 没年月日 2013年9月21日(満69歳没)
- 生まれ 京都府京都市
- 亡くなった地 神奈川県相模原市
- 身長 181 cm
- 血液型 B型
- 職業 俳優・声優・僧侶
- 活動期間 1960年代 - 2013年
- 配偶者 立花房子
石田太郎さん、残念ながら2013年、69歳でお亡くなりになってますが、浄土真宗本願寺派の僧侶でもあったこの御方。
ドラマや映画でも活躍し、洋画の吹き替えでは「刑事コロンボ」のコロンボ役(新シリーズ)、アニメでは、このカリオストロ伯爵のように悪役や権力者の役が多かった声優さん。
2001年に放送されたTVスペシャルシリーズ第13作の「ルパン三世 アルカトラズコネクション」では、銭形と行動を共にするサンフランシスコ市警の警部補テリー・クラウンを演じてます。
ドラマでは、NHK大河ドラマの常連俳優で、1968年「竜馬がゆく」の後藤象二郎 役に始まり、1984年に『山河燃ゆ』、1985年に『春の波涛』、1986年に『いのち』、1987年に『独眼竜政宗』と4年連続出演するなど、なんと生涯の中で15作も大河に出演したといいますから、俳優としても凄い方。
ちなみに最後の出演は、2000年の「葵 徳川三代」の大久保忠隣 役。
2006年のNHK連続テレビ小説『芋たこなんきん』では、僧侶でもある石田太郎さんのために原作にない住職役が作られたという話まであります。
声優あってこそのアニメ
アニメにドラマに吹き替えにと、多方面に活躍された声優の石田太郎さん。2013年9月に連続ドラマ『独身貴族』第1話の収録で水着でプールに入っての撮影後、意識を失い倒れそのまま他界。69歳でした。
いろいろな声優さんに支えられて作られるアニメ作品。この名作「カリオストロの城」もこういった方々がいて初めて名作として語り継がれるものになってるんですね。
■ルパンの車たち!
さて、お次は映画に出てくる車たち。
ルパンが乗ってる車や、不二子のバイクってなんだろう?と長年の疑問でもありましたが、ここで色々と見てみましょう。
ルパンの愛車はフィアット
あの愛らしく、しかもパワフルなルパンの愛車。
この映画の中ではクリーム色と言うか黄色というか、これはイタリアの「フィアット500」(Fiat500) です。
映画の冒頭、車で追っ手から逃げるクラリスを助けるために、ロケットスタートしてるシーンが有りますが、ルパンの車は独自にカスタマイズしてスーパーチャージャー付きですね。
男爵の手下が追ってくるルパンの車を振り切るために投げる手榴弾。1つはかわすが2つ目がモロに目の前で爆発します。
お陰でフロントガラス、左のフロントライトは大破し、ボンネットやフレームがフニャフニャになるなどの大きなダメージ。最後には途中に止まってたロードローラー車(地面をローラーで押し固める建設車)に突っ込み、右のフロントライトも大破し、フレームも更に大きなダメージを受けたりします。
それでもすぐその後、クラリスの指輪を見たことから太閤殿下(王様でありクラリスのご両親)の城にこの車で急ぎますが、車自体は無事全開で稼働します。大破したかとおもいきや、さすがにそこは映画です。まだ動いてよかったね!
そして多分その夜のこと。
宿に泊まっているところ、伯爵の腹心「ジョド」率いる暗殺部隊に襲われ車で逃げるルパンと次元大介。この時、車はまだフロントガラスはなくボディは傷ついたままのですが、フロントライトの右だけは(なぜか)しっかり復活しています。
ちなみに、この映画の中での車のナンバーは「R-33」
最初こそ右ハンドルでしたが、映画のエンディングでは左ハンドルになっている(次元が左座席で運転し、右にルパンが座ってる)という魔改造がどこかで行われたようですが、まぁ、そこはアニメ映画の醍醐味というものです。
クラリスの車!
映画の冒頭で、初めてクラリスと出会うルパンと次元。
負ってから逃げるクラリスが運転していた車はといえばフランスの「シトロエン・2CV」。
クラリス、修道院にいたはずなのに、車の運転できたんですね。(素晴らしいですが、多分無免許)
この車、フランスのシトロエンが1948年に発表した前輪駆動方式の乗用車で、その独創的なフォルムに自動車の歴史に残る名車の一台とも言われるほど。
残念ながら、クラリスとともに逃げる間にボコボコになり、最後には湖に落ちてしまういますが、宮崎駿監督自身が(当時)この車を実際に所有していたのだとか。
伯爵の手下の車
映画の冒頭でクラリスを追いかけるカリオストロ伯爵の手下たち。
頑丈で高級そうな車でクラリスを追いかけますが、この車はイギリスのルーツ・グループが1938年から1967年まで製造していた大型乗用車・高級車の「ハンバー・スーパー・スナイプ」という車。
超頑丈で、映画の中では、なんと車のタイヤも次元大介が放つ拳銃の弾を弾き返すほどのカスタマイズがされてます。
でもそこはやっぱり我らの次元です。これは普通じゃない、と気がつくと次は特殊な弾丸で狙い撃ち。見事タイヤを破壊して追跡を振り切ることに成功です。やったね!
銭形たちの日本のパトカー
ご存知、ルパンの作品にはなくてはならない銭形警部。
銭形警部率いる日本のパトカーも登場しますが、車種はといえば日産ブルーバード 410型。
少し古風な感じが漂うこの車。
映画の中でパトカーのボディーに書かれた所属名は左は「埼玉県警」、でも右側は銭形警部が所属するとされる国際刑事警察機構「ICPO」(インターポール)の文字が書かれている。
ちなみにナンバーどうなってたかといえば、こちらも埼玉で「埼玉 5 た・110」。東京ではなく埼玉といった、このどことなく田舎チックな雰囲気が、またいい味出してるんですね。(埼玉に住んでるみなさん、悪気はないんです。ごめんなさい)
果たしてここの「警視庁」とか書かれてたらどうだったか。
回想シーンのメルセデス・ベンツSSK
「ルパンの車は?」と聞かれたら、こちらを思い浮かべる人も多いかもしれません。
クラリスを城から助け出そうとした時に、離れの塔の上で伯爵の手下に撃たれ、その後クラリスの庭師の家でベッドに横たわりつつ、ルパンがクラリスとの出会いを回想するシーンがあります。
そこで「10年前はまだ駆け出しのチンピラで、バカやって...」と言いつつ映像が流れ、その中に出てくる車がこの「メルセデス・ベンツSSK」。
ルパンの車としては代表格の車かも知れませんが、ルパンはこれにフェラーリV型12気筒エンジンを搭載し、最高時速300km/h超えを実現させているというからすごいですね。
やっぱり逃げるにはスピードが大切。重い荷物もラクラク運べるパワーも兼ね備えたルパン仕様の車です。
峰不二子が乗るバイク
峰不二子、と言えばバイク。
不二子にバイクはつきもので、この映画でもバイクに乗ってるところが描かれてますが、実はTVシリーズの1作目のエンディングのバイク姿(あしぃ~もとにぃ~からみ~つく~...の歌とともに流れる不二子のバイク姿)以外では、バイクに乗ってるとこって見たことがないような。
さて、この映画で乗ってるバイクは?と問われれば「ハーレーのWL」。
実はアニメや映画の設定で、バイクの種類は特定されているわけではなく、制作スタッフの誰かの話からすると、見かけ上ハーレーだな、といったところと、この映画のファンでバイクをよく知ってる人の間では、それなら「ハーレーのWLだな」、と言われてるところから来ています。
ハーレーといえば、個人的には日本でその昔にハーレーを手本に作られていた「陸王」というバイクが有りますが、実はこちらが元だ!という気がしてたりします。
いや、まぁ、形としてはハーレーなんですけどね。
いずれにしても格好いいバイクたち、乗ってみたい。
おまけのオートジャイロ
車とはちょっと違いますが、映画の冒頭で伯爵が空の散歩か何かで乗ってる乗り物は「オートジャイロ」と言われるもの。
途中には、クラリス救出のために、ルパン、そして銭形警部が操縦し、最後には木に突っ込み大破する小型飛行機ですが、実は実際にはない映画の中だけの乗り物です。
あれば嬉しいと思う乗り物の1つですが、実現されてなかったんですね。逆にちょっとびっくりです。
映画の冒頭を振り返れば、伯爵は王様と同等の地位にいる人にもかかわらず、銭形警部がいきなり伯爵の朝食時に部屋の中に入って来て普通に話しかけることができたり、また伯爵は伯爵で、衛士のグスタフに「その日本人に協力を...」と、多分日本人は見かけたこともないであろう国にいる人にもかかわらず、銭形警部を一発で日本人と判断するといった超人的洞察力を発揮するなど、冷静に見れば突っ込みどころも多いこの映画。
映画の最後のシーンでは、銭形警部とクラリストの有名な会話のセリフが特に印象的。
- 銭形:くそー、一足遅かったか。ルパンめ、まんまと盗みおって。
- クラリス:いいえ、あの方は何も盗らなかったわ。私のために戦って下さったんです。
- 銭形:いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。
- クラリス:はい!
そして敬礼しつつウインクして立ち去る銭形警部。クラリスやじいさんに手を振りながら車で去っていく警官たち。
庭師のじいさんが最後に一言。「なんて気持ちのいい連中だろう」
もう何回見ても飽きません。いや、これは初めて見る人は一発でファンになること請け合いです。更に書き続けたいところですが、読んでる方は疲れますのでこの辺で。
ということで、頭のなかでは「しあわせ~をたずねーて~...」と主題歌の「炎のたからもの」が鳴り響きつつ、以上、ルパン三世の映画「カリオストロの城」のクラリスと伯爵の声優、ルパンが乗ってた車は何だっけ?でした!