猿の惑星の原作の結末は?あらすじとネタバレ。最後にオチもあった1963年のフランスSF小説
2015/04/02
今なお根強い人気のシリーズ「猿の惑星」。
映画で第一作「猿の惑星」を始めて観た時の衝撃、ラストの自由の女神のはかなさ、これからも今後ずっと語り継がれることでしょう。
この猿の惑星シリーズ、原作は1963年発表のSF小説だったのはご存知でしょうか?猿の惑星シリーズが大好きなあなた、この小説はどんな内容か気になりますよね?
ここではちょっとだけ原作をのぞいてみましょう。
Contents
猿の惑星 1963 概要
- 原作の「猿の惑星」、作家はフランスの小説家「ピエール・ブール」Pierre Boulle
- 作品の原題は「La Planète des singes(邦題:猿の惑星)
- 発行日は1963年(フランス)、1968年(日本)
フランスで発行されてから日本で発行されるまで5年の間があいてます。
1968年と言えば、映画の初代作品「猿の惑星」が映画化された年。この映画に伴って原作が日本で発行された、っていうことですね?
原作のあらすじとネタバレ
以下、ネタバレも含まれます!
宇宙空間で宇宙船遊覧中の飛行士たちが1つの容器を発見した。その中には奇妙な記録文書が入っていたのだが、それによると、...
到着したのは猿の惑星
人類初の恒星間飛行(太陽のように自ら光る星(恒星)の間を飛行すること)が行われ3人の飛行士が乗り込むが、到着した星がなんと猿の惑星だった。
その星では猿の知能は非常に高く、逆に人間は知能が低くサルから狩られる対象であった。
囚われの身からの脱出
3人の飛行士もその星の他の人間と同じように猿から狩られるが、飛行士たちは他の人間と違って知能が高いことを自ら証明してなんとか檻の中から出してもらうことに成功。
地球へと脱出
ただ、知能の高いサルたちからは人間が知能が高い、ということで当然のように警戒され、結果3人の飛行士たちはサルの開発したロケットに乗り込み、地球を周回する衛星へと脱出。
地球も猿の惑星
その後無事地球へ戻ることに成功したが、戻った地球はなんと人間が檻に入れられ、サルの支配する星となっていた。
実は飛行士はサルだった
こんな記録文書だったのだが、これを読んでいる宇宙船遊覧中の飛行士は実はサルたちだった、というお話しというかオチなんですね。
映画「猿の惑星」の原作というだけに、映画も勿論この話を踏襲しています。
猿の惑星シリーズ1作目と原作の違い
フランスの小説家「ピエール・ブール」による原作では、人間は猿から狩られる存在であり、宇宙船遊覧中の飛行士が猿であった、というお話。
映画でも基本は同じですが、映画の猿の惑星シリーズ第一作では、
- 現在の人間の世界がまずあり、
- 世界が崩壊した結果サルと人間の立場が逆となって未来に至る、
- その未来に過去人類が繁栄していた頃の人間が降り立つ、
というあくまで現在から未来への一連の流れが基本となっている、というところが大きな違いでしょうか。
これはサルが使用してる言語も大きな要素となっています。
原作の小説ではサルたちは独自の言語で話をしているのに対し、映画では英語を話しています。過去人類が繁栄し、その延長線上に猿の惑星の世界がある、という流れの中では自然です。
映画では映画を見る観客に対し、決してただの娯楽作品、絵空事ではなく、自分たちの未来像がこの映画だ、と実感、共感できる形で提示しているんですね。
(でも英語を話してないと、見てる側も理解できない!っていうのも勿論あります...)
映画のその後
原作の設定、映画の設定の奇抜さ、面白さにより、映画の初代作品「猿の惑星」(1968)もヒットして、その後2014年の「猿の惑星: 新世紀」まで計8作品もの映画が作られることになりました。
またテレビでも人気は今ひとつでしたが「Planet of the Apes」(猿の惑星)の名で、アメリカでSFドラマとして放映されたりしています。
知りませんでしたが、これは日本でも放送されたようですね。第一話「未来への脱出」から始まる全14話。
ピエール・ブール
原作 La Planète des singes(邦題:猿の惑星)の作者、ピエール・ブール(Pierre Boulle)。このような面白い設定を書く小説家とはどんな人だったんでしょう?
元々はエンジニアでゴム園の監督者
このピエール・ブールは第一次世界大戦がはじまる少し前の1912年2月21日生まれ。元々はエンジニアでゴム園の監督者などをしていたところ、1939年に第二次世界大戦が始まりフランス軍に徴兵されて終戦まで戦争を経験。戦争での功績も大きく戦後レジオンドヌール勲章(フランスの最高勲章)等を受賞。
戦後は小説家
戦後はパリに戻って戦争で体験した事を元に小説を書き始め、代表作には映画化もされた有名な「戦場にかける橋」や、ここで紹介してる「猿の惑星」があります。1994年1月30日、パリで死去。
猿の惑星は戦争体験から?
ピエール・ブール自身はこの「猿の惑星」が描かれた元の経験なりを話してはいません。
憶測では第二次世界大戦中に始めは有色人種を使役させる側の立場であったところ、捕虜となって逆に有色人種(日本人)に使役される側になってしまった(猿の惑星のように、立場が正に逆転してしまった)、というところからの体験を元にして生まれた作品だ、と誠しやかに言われたりしますが、真相は定かではありません。
想像するに、本当はそうなのかもしれませんが、それを言ってしまうと「猿=有色人種」と公言してしまうのと同じなので、流石に言えなかったのでしょう。^0^)
補足
恒星間飛行
原作に出てくる「恒星間飛行」。
この「恒星」は太陽のように自ら光り輝く星の事。夜空に見える星たちは基本恒星。「恒星間飛行」とは、この「恒星」の間を飛行することです。
恒星である我らが「太陽」。この太陽に最も近い恒星は4光年あまり離れたところにある「プロキシマ・ケンタウリ」(ケンタウルス座V645星)。つまり光の速度で飛んでも4年かかります。
NASAの無人探査機ボイジャー1号で行くと、ボイジャー1号は秒速 17km/sほどで飛行しますが、これに乗って行くと7万年以上かかる計算です。
7万年!
いやー、現在の科学で7万年以上ですか。宇宙船の中で何世代暮らせば到達するんでしょう。100年で3世代としてもその700倍以上、つまり2100代以上?考えられない...
レジオンドヌール勲章
L'ordre national de la légion d'honneur。
ナポレオン・ボナパルトによって制定されたフランスの栄典制度。現在もフランスの最高勲章として存在する。
戦争にかける橋
Aux sources de la rivière Kwaï, 1952年(戦場にかける橋 - The Bridge on The River Kwai)。同名の映画「戦場にかける橋」の原作となった小説。
映画の舞台は第二次世界大戦の1943年のタイ。今ではクゥエー川鉄橋で有名なタイのカンチャナブリでのイギリス兵の捕虜と労働させようとする日本軍との間の物語。
タイ、カンチャナブリについては以下のサイトがかなり参考になります。
タイ王国【カンチャナブリー】クウェー川鉄橋
まとめ
- 猿の惑星の原作では、最後にサルの飛行士だったというオチがあった
- 原作の設定、映画の設定の奇抜さ、面白さにより、2014年の「猿の惑星: 新世紀」まで計8作品もの映画が作られることになった。
- 原作の作家はピエール・ブール。
- 元々はエンジニアでゴム園の監督者だったが、戦後にこの作品を書いている。
- 多分戦争体験を通してのもの。
猿の惑星ファンであってもなくても、一度はこの面白そうな原作、読んでおきたいものですね。
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