大河ドラマ「花燃ゆ」の原作者は司馬遼太郎ではありません。題字も下手とかではなく國重知美さんの「英漢字」!
2015/02/02
2015年の大河ドラマ「花燃ゆ」。
NHKの大河ドラマとしては第54作目のこの作品、今でこそ「花燃ゆ」と言えるようになりましたが、最近まで「花燃える」と言ってしまったり、今でも漢字変換では「花も湯」とかになってしまったりと、変なところで苦労するドラマだったりしますが、主演はご存知「井上真央」。
彼女自身の結婚話も絡み変に色々と話題豊富なドラマですが、話はというと、時は幕末、迫り来る列強の脅威にさらされつつある日本。この国をいかに守っていくかと躍起になっていた吉田松蔭たちがいますが、その吉田松陰の末の妹であり、後に尊皇攘夷の志士として壮絶な最後を遂げる久坂玄瑞の妻となる「杉文」の生涯を描いた作品。
ここではドラマの原作のこととか、「花燃ゆ」の題字が下手だの何なのと言われてますので、題字のことも合わせて一緒に見てみましょう。
そこのあなた!
大沢たかおが出演するために、井上真央が医療歴史ドラマ「JIN-仁-」の綾瀬はるか演じる「橘咲」に見えてしまう!と思っているのは、気のせい、気のせい。^◇^)
Contents
■大河ドラマ「花燃ゆ」
- 放送: 2015年1月4日~
- 原作: なし
- 脚本: 大島里美、宮村優子
- 演出: 渡邊良雄、末永創
- 主な出演者
井上真央(主演:文 少女期:山田萌々香)
大沢たかお(小田村伊之助)
伊勢谷友介(吉田寅次郎:文の兄。後の吉田松陰)
他、素晴らしい役者さん沢山!
■原作者はいない
NHKの大河ドラマと言えば、以前には吉川英治の「太閤記」に「太平記」、「武蔵」など、また司馬遼太郎の「竜馬がゆく」や「国盗り物語」、「翔ぶが如く」などに、井上靖の「風林火山」など、これら原作がありそれがドラマ化されてました。
勿論、1980年の「獅子の時代」や翌年の「おんな太閤記」、最近で言えば2010年の「龍馬伝」など、原作なしのものもありますが、ではこの「花燃ゆ」はどうでしょう?
そう、原作はありません。
NHKのオリジナルストーリーであり、脚本は大島里美と宮村優子。
このお二方、どちらも大河ドラマの脚本は初めてです。
二人の脚本家
二人の脚本家のうちの一人「大島里美」。
テレビドラマでは2005年の『1リットルの涙』や2012年の『恋するハエ女』、 映画では2009年の『カフーを待ちわびて』を手がけた方。2010年の「ダーリンは外国人」などの脚本も手がけてます。
そしてもう一人の「宮村優子」。
この方はNHKのドラマの脚本を非常に沢山手がけていて、古くは1991年ごろの「君の名は」、1994年の「つばさ」や「ぴあの」「赤ちゃんが来た」「春よ、来い」、最近で言えば、2013年の「極北ラプソディ」や「七つの会議」など。
今回のこの大河ドラマ「花燃ゆ」では、NHKの番組作りを非常に心得ている宮村優子、そして多くのドラマを手がける大島里美とのタッグ、みたいな感じとなるでしょうか。
原作なしの大河たち
1963年に第一回「花の生涯」を原作「舟橋聖一」でスタートしたNHKの大河ドラマ。 ここ最近の5年ほどはどうだったかを振り返ってみれば、
- 2009年「天地人」 原作:火坂雅志
- 2010年「龍馬伝」 原作なし
- 2011年「江 ~姫たちの戦国~」 原作:田渕久美子
- 2012年「平清盛」 原作なし
- 2013年「八重の桜」 原作なし
- 2014年「軍師官兵衛」 原作なし
- 2015年「花燃ゆ」 原作なし
- (2016年「真田丸」 原作なし)
こうして見ると、結構「原作無し」が続いてたんですね。ちなみに2016年予定の「真田丸」も原作なしです。
原作なしはどうして?
どうして原作無しとなっているのか、と考えてみれば、一番の理由が、新しいことをやりたい、自分たちのカラーを出して自由度の高い作品を作っていきたい、というのがあるでしょう。でもこれは諸刃の剣。
原作のあるものは、そもそもいろいろな人達の意見を聞けて、その上でドラマを作っていけるといった、「枠が決まっているけども着実に進められる」といったメリット。先が読みやすく、でも保守的な感じですが、NHK的には本当はこちらの方が合ってるのかもしれません。
逆に原作がないものは、決まった枠はなく自由度が高い、どういった展開になるのかハラハラワクワク感が大きい、といった反面、「そのストーリーが本当に良いものになっているのか、全体を通しておかしなものになってないか」、など、洗練されたものになってない可能性も大きく、ストーリーは勿論、視聴率など先の見通しが立てにくいといったことにもつながります。
他にも商業的な理由(オリジナル商品が出せる等)もあるのでしょうが、さて、この「花燃ゆ」。直近の原作なしドラマ「平清盛」、「八重の桜」、「軍師官兵衛」の経験を生かし、視聴者をどこまで引きつけられる作品にするか注目です。
本はあるのかな?
ちなみに原作がない代わり、といってはなんですが、「花燃ゆ」の本は出版されます。脚本を担当される大島里美と宮村優子によるものですね。
花燃ゆが大好きなファンとしては必読書となりそうです。
司馬遼太郎はどう?
NHKの大河でよく原作として取り上げられる司馬遼太郎の作品。その中に吉田松陰がでてくるものが結構合ったりして、こちらを読んでみるのも面白い。
(脚本を担当しているお二人はきっと読んでいることでしょう)
代表作の1つ、吉川英治文学賞も受賞している1971年の作品「世に棲む日日」。こちらでは、吉田松陰、高杉晋作が描かれてます。他にも1964年の「燃えよ剣」や1968年の「峠」などがありますね。
■花燃ゆの題字が下手!?
ドラマの最初に映しだされたり、上で見た本の表紙を飾ったりする「題字」。これがが下手だの何なのと騒がれてます。
個人的には変わったカッコ良さのある字だ!結構斬新~、などと思ってましたが、この題字、書家であり元タレントの國重知美さんが書かれてます。
國重知美さんは「英漢字」の書家として非常に有名な方。この題字も実は「英漢字」だったりするんですね。
英漢字とは
英漢字とは、文字通り「英語+漢字」であって、英語で書いても漢字で書いても同じ意味になる文字のこと。
え?どういうこと?ってわかりづらいですが、気になる方は國重友美の公式サイトで見てみましょう。
國重友美のプロフィール
- 國重友美(くにしげ ともみ)
本名、西村友美(にしむら ともみ) - 生年月日 1978年12月11日(62歳)
- 出身 山口県
- 学歴 神戸松蔭女子学院大学文学部卒。
- アルファベットと漢字を組み合わせた『英漢字』(ええかんじ)の命名者であり、その個性的な作品で、国内外から高い評価を得ている女流書家。
- 夫:俳優の西村和彦。二児の母。
プロフィールを見ていると、タレントから書家に転身したのではなく、元々が「英漢字の書家を目指していた」のだとか。そしてタレントのスカウトに合ってタレントへ。そして2003年、大阪で開催した初の個展を機に書道に専念、となったということです。
海外でも書家として有名なこのお方。公式サイトを見れば、プロフィール写真は以下となっていて、とてもエンターテイメント性を出してるような雰囲気です。
なぜ國重友美?
今回の大河ドラマ「花燃ゆ」の題字が國重友美さんのものというのはわかりましたが、ではなぜ國重友美さんが選ばれたのでしょう?
國重友美さんの公式サイトを見てみると、以下のコメントがありました。
母方の故郷、萩にある松下村塾に初めて行ったのは小学生の時だった。中学生の時には父方の故郷、防府まで高校受験のお守りを買いに行った。そういった山口での風景を昨日のことのように思い出す。
新しいものにチャレンジする精神、世界に挑む志を持つ私のルーツはここにある。幕末期の輝いた男達を支えた強く優しい長州の女を想いながら、魂を込めて描きました。
今回のご縁に感謝致します。
國重 友美
國重知美さん、ドラマの地である萩にゆかりのある方だったんですね。
NHKのこの原作なしのドラマ「花燃ゆ」におけるチャレンジ精神、そして常にチャレンジし続ける「英漢字」書家であり、萩ゆかりの方、ということで國重友美さんに白羽の矢があたったのでしょう。
よく分かるCM
國重友美さん、以前ダイドードリンコのコマーシャルに書家として出演されてました。
- いいなCM ダイドードリンコ
國重友美 ♪BACK-ON 「國重友美さん」篇
こちらのコマーシャルで「英漢字書家」として紹介されつつ、大きな筆で字を書く姿が映し出されます。見てて楽しいコマーシャル。
2015年の1月の頭には、NHKの「ASAICHI」にも出演して書を披露してました。
さて改めて
英漢字。改めて見ると流れるような字がとてもかっこよく見えます。
こちらはちょっと複雑...かな?^-^;)
「英語+漢字」の「英漢字」。面白いですね。
以上、2015年の大河ドラマ「花燃ゆ」の原作者と題字が下手だなんだの件でした!
第一話から「学問とは!」とか、時代の重苦しい雰囲気を漂わせる反面、知的好奇心をくすぐる内容で迫ってきたこのドラマ。これからどんどん面白くなっていくこと期待してます!